市民公開講座『かしこい高齢者施設の選び方』

講師プロフィール

松宮 良典  まつみや よしのり

ふくろう法律事務所(大阪府高槻市)。弁護士。介護支援専門員。 
大阪弁護士会、高齢者・障害者総合支援センター「ひまわり」運営委員、高齢者・障がい者施設の顧問・第三者委員などを務める。 ホールヘルパー(訪問介護)の相談員、デイサービス(通所介護)の相談員、ケアマネジャー、総合高齢者福祉施設副施設長を経て、弁護士となる。 

《著書》 
『事例詳解 介護現場における虐待・事故の予防と対応』日本加除出版(2019年10月刊)『事例詳解 介護現場における苦情・ハラスメント対応の実務』日本加除出版(2021年5月刊) 

《事務所名の由来》 
知恵を授ける役割の象徴であるフクロウ的な存在として,福祉と労働分野(福祉の「ふく」と労働の「ろう」)を中心に,地域住民の方にアドバイスをさせていただき,地域住民の方が,苦労知らずで(不+苦労)で,幸せになるのをサポートさせていただくという意味で,事務所名を付けました。 

《主な取扱分野》 
介護事故・年金・財産管理・成年後見等の高齢者・障がい者福祉に関する問題、労働問題、クレジット・サラ金問題・賃貸・その他生活再建に関わる問題、遺言書作成など 

講演内容

1 ご本人が望むなら基本的には自宅での生活を支える 

(1)居所指定権の重要性 
 ご本人にとって、もっとも安心できる快適な場所を選ぶべき。 

(2)自宅での生活が難しい例 
 自宅で生活した場合に、夜間帯も含めて頻繁に喀痰吸引が必要など常時医療が必要な場合、行方不明になることが繰り返され命に危険が及ぶ可能性が高い場合、ボヤ騒ぎを何度も起こすなど他害の危険性が高い場合は、施設選択を検討する。 

(3)自宅か施設かの見極めの方法例 
 在宅の生活が無理か否かは、支援が必要な点を洗い出し、それらの課題にサービスを組み合わせ計画を立て、実施してみることが重要。

(4)在宅生活を支えるには信頼できるケアマネジャー選びが重要

(5)小規模多機能型居宅介護の利用 

2 自立度が高い方はケアハウスを検討する 

3 施設選びの際には施設の性格を踏まえる 

4 まず介護老人福祉施設(特養)を検討する 

 基本は要介護3以上の場合優先入所を検討。要介護1・2の場合は特例入所、要介護2以下の場合は措置入所を検討。 

5 グループホーム(GH)の検討 

 日常生活に近い、家庭的な雰囲気の中で、職員と一緒に食事を作るなどの共同実践を取り入れて、認知症があってもできることを行い、自らの役割を担い、最期まで自分らしく生活できるように支援を行っているところもある。

6 良い施設の見分け方  

 介護サービス情報公表システムを活用する。まず、「事業所検索(条件検索)」である程度絞り込む。次に、主なチェック項目を参考に数か所に絞り込む。施設見学をする。昼食時に見学して、施設見学の際の主なチェック項目を参考に選ぶ。 

7 命・尊厳を守るために 

 死に至る危険性の高い、誤嚥事故(誤配膳含む)、入浴(溺死・火傷等)事故、誤薬事故、及び転倒事故を防ぐ。命を守るために必要な支援内容を居宅または施設サービス計画書に盛り込ませるべき。 

8 まとめ 

 急に慌ててとりあえず入れそうな施設を選んだのでは、サービスの質が低く、後で取り返しのつかないことが起こることもある。上記等の点や、自らの希望・心身の状況等を考慮して適切に施設を選んでいただき、皆様が、自分の生活リズム、ライフスタイルに合った施設を探して、最期まで自分らしく安心して暮らすことができるようになれば、幸甚である。 


座長

池田 直樹 いけだ なおき

一般社団法人日本高齢者虐待防止学会 理事長
上本町総合法律事務所 所長

1949(昭和24)年生
1976(昭和51)年3月京都大学法学部卒業
1986(昭和61)年4月大阪弁護士会登録弁護士
1993(平成5)年から2002(平成14)年3月まで日本弁護士連合会人権擁護委員会委員
2004(平成16)年4月から1年間、大阪弁護士会人権擁護委員会委員長
2000(平成12)年4月から2016(平成28)年3月まで大阪簡易裁判所調停委員
2008年(平成20年)4月から2014(平成26)年3月まで大阪府精神医療審査会委員
2012年(平成24年)日本高齢者虐待防止学会理事長

海外の高齢者障害者の介護、虐待防止の取り組み他、権利擁護活動の視察(アメリカ、イギリス、ドイツ、オランダ、オーストラリア、韓国)、国際会議招聘(北京、ソウル、バンコック)

著書 「頭と心にしみる法律講座‐法律を知れば福祉のいまが見えてくる」月刊ケアマネジメント2001年1~12月号連載、「Q&A高齢者虐待対応の法律と実務」共著2007年7月学陽書房、「隔離・収容政策と優生思想の現在」共著2020年12月批評社


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