高齢者虐待防止法改正の意義を今一度考える

分類  :特集 高齢者虐待防止法改正の意義を改めて考える
題名  :高齢者虐待防止法改正の意義を今一度考える
著者  :池田 直樹
所属  :日本高齢者虐待防止学会 理事長
収録  :高齢者虐待防止研究 2016 [vol.12/No.1]
頁   :9-11

抄録:

高齢者の虐待防止,高齢者の養護者に対する支援等に関する法律(以下,高齢者虐待防止法)は,当初3年後見直し条項が入れられていたが,見直されないまま 10 年が経過してしまった.見切り発車で制度化にこぎつけたため,いろいろな面での積み残しがあり,他方で新たな問題が指摘されており,提案者である国会での迅速な改正案の提出,審議をお願いしたい.なお,以下に指摘する内容は私見であることをご了解下さい.

Key Word:議員立法 医療施設 サービス付き高齢者向け住宅 ゴミ屋敷条例

1.高齢者虐待防止法の制定過程(とりあえず緊急に制度化する必要性)

高齢者虐待を防止するための制度化について基本的な対立はなく,2005(平成 17)年 11 月 9 日臨時国会の会期末ぎりぎりで与野党の調整がまとまり,委員会審議で論戦することもなく,直接本会議で可決成立した(2006 年 4 月 1 日施行).日々虐待防止の現場で奮闘していた方々が,この高齢者虐待防止法が成立したことで安堵したのも当然である. しかし,高齢者虐待防止法はその後,高齢者虐待に取り組む多くの現場が改正の必要性を指摘しているにもかかわらず,バージョンアップがなされていない.その背景には,この法律案を提出したのが厚生労働省ではなく,当時の国会議員の任意参加による超党派の議員連盟が国会に提案し可決されたいわゆる「議員立法」であることが影響している.即ち,同法制定の母体となった議員連盟に参加する議員は,その後の選挙により議員であり続けられるとは限らず,従って議員連盟自体の存続は制度的に何ら保障されたものではない.これに対して,厚生労働省であれば官僚が継続して同じ分野に関わり継続して情報を収集し続けられる.また省庁内での人事異動はあるが,後任の担当者に問題意識は引き継がれるので,立法改正の必要性についての活動の不安定さはない. つまるところ,議員が発案して立法化すること自体は,国会が立法機関であることから当然のことではあるが,国の基本的な制度のあり方について,法改正の必要性が生じた場合に機能停止してしまうようでは立法機関としての責任を果たしているとは言えない.国会の立法活動について,法制定後の継続的なフォロー体制を検討すべきである.国会には委員会活動があるが,その中で議員立法制定後も担当議員を選任して,一つの法制度を継続担当する事務局を設けるべきである.(本文の一部)

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