大会長挨拶

2024 年9 月14 日(土)に「第20 回日本高齢者虐待防止学会千葉大会」を淑徳大学千葉キャンパスにおいて開催いたします。大会テーマは、「虐待防止の取り組みの成果と課題~学会20 周年をマイルストーンとして~」です。

本学会の学術集会は、2004 年に第1 回大会(会場:日本大学文理学部百周年記念館、大会長:故田中荘司先生(当時、日本大学文理学部教授))を開催以降、新型コロナウイルス感染症の影響を受け非開催となった2020 年をはさみ、今大会にて20 回を迎えました。この間、千葉県内では2 回の大会(第5 回:2008 年、第14 回:2017 年)を開催させていただきました。

学会20 周年の節目となる本大会では、記念シンポジウムとして、地域共生社会の実現に向けた取組みが進む中で、高齢者に対する虐待に限らず「虐待」全般についての現状をとらえ直し、地域における包括的な支援のあり方を考える場とするべく、3 つの領域(児童、高齢者、障害者)の虐待の現状と共通課題や相違点、包括的な対応のあり方など今後の方向性について議論します。

さらに、以下の4 つのプログラムと一般演題発表を準備しております。

特別講演では、「介護人材不足と虐待」をテーマに、施設における虐待の背景にある深刻な介護人材不足や介護人材の質的な充実の必要性などを検討し、介護現場において虐待事案を生じさせないために、求められる対応策を多様な側面から提起し、皆さんと一緒に考えていきたいと思います。

パネルディスカッション1 では、「認知症の人を支える地域での取り組み-認知症の人への虐待をいかに防ぐか-」をテーマに、本年1 月に施行された「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」が目指す認知症の人が尊厳を保持しつつ希望を持って暮らすことができるように、虐待被害を受けやすい認知症の人をいかに地域で支えるかを議論します。

パネルディスカッション2 では、今日改めて重視されている「高齢者施設における身体拘束の廃止に向けて」をテーマとし、現在、厚生労働省において検討されている「身体拘束ゼロに向けたてびき」の改定に向けた検討内容や介護老人保健施設と介護老人福祉施設での虐待・拘束のないケアの展開と今後の方向性について報告いただきます。

パネルディスカッション3 では、現在、推進されている地域包括ケアや重層的支援体制整備事業等の取り組みについて「養護者と家族を丸ごと支援する-虐待予防の観点から-」をテーマに、地域での実践を報告いただきながら地域共生社会の実現に向けたこれからの歩みを、参加者の皆さんと考えていきたいと思います。

また、一般演題発表では、会員による最新の研究・実践等の成果を、皆様と分かち合う場といたしたいと存じます。多くの皆様の大会へのご参加を、心よりお待ちしております。

第20回日本高齢者虐待防止学会 千葉大会 大会長
淑徳大学 学長
総合福祉学部 教授
山口 光治