高齢者虐待防止法の施行(平成18年4月1日)から20年が経過しました。高齢者虐待防止法は、高齢者の権利利益の擁護に資することを目的として、高齢者虐待の防止等に関する国や地方公共団体等の責務、高齢者虐待を受けた高齢者に対する保護のための措置、養護者の負担の軽減を図ること等の養護者による高齢者虐待の防止に資する支援(養護者に対する支援)のための措置等を定めており、この20年間で、高齢者に対する虐待等の権利侵害の予防や回復の実効性が、徐々にではありますが高まってきました。
一方、令和4年3月25日に政府が閣議決定した第二期成年後見制度利用促進基本計画においては、権利擁護支援とは、地域共生社会の実現を目指す包括的な支援体制における本人を中心とした支援・活動の共通基盤であり、意思決定支援等による権利行使の支援や、虐待対応や財産上の不当取引への対応における権利侵害からの回復支援を主要な手段として、支援を必要とする人が地域社会に参加し、共に自立した生活を送るという目的を実現するための支援活動であると定義されています。虐待対応は、権利擁護支援の手段ですから、私たちには、財産上の不当取引を含む高齢者虐待への対応として、権利侵害の予防・回復支援に取り組むことと同時に、虐待を受けた高齢者や養護者等に対する意思決定支援等による権利行使の支援にも取り組むことも求められています。地域共生社会の実現を目指す包括的な支援体制の構築という観点から、高齢者の権利擁護支援の活動としての高齢者虐待防止の現状と課題を分析し、その活動を捉え直していくことが期待されています。
本大会では、以上のような観点も踏まえ、視野を広げてこれからの高齢者虐待防止について議論を深めていきたいと思います。

第22回日本高齢者虐待防止学会 静岡大会 大会長
司法書士 西川浩之
