当学会は医師、弁護士、司法書士、保健師、看護師、介護福祉士、社会福祉士、介護支援専門員など高齢者ケアの現場に携わる専門職から構成され、高齢者虐待防止の調査研究や、直接的ケアの担い手への支援とともに、議員立法でありました「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」の2005年の成立にも貢献いたしました。
その後、法制度見直しにも毎年取り組み、今回はいくつかの見直しの提案から、①養介護施設従事者の対象施設の拡大、②都道府県高齢者権利擁護センターの設置、③国のほかに地方自治体を主体として調査研究検証の規定の作成、④「セルフ・ネグレクト」を虐待類型に追加することの4点に絞り込み、市民の視座からの高齢者虐待防止法改正の理解と普及を企画の一つとしています。プログラムは「新潟県の高齢者虐待の現状と課題」やシンポジウム「高齢者虐待防止法とその運用の実際」をおこないます。
また、高齢者虐待は多様な要因が重層構造を持って起こりますが、高齢者側の要因としては認知症による言動の混乱や身体的な自立度の低さにより、在宅においては家族との関係性の調和が崩れ介護者の負担やストレスが虐待を引き起こすことが要因の一つといわれています。
これらの問題を大会長講演「介護負担と高齢者虐待」、教育講演「レビー小体型認知症について」、シンポジウム2「不適切なケアの防止への取り組み」、座談会「在宅継続支援 認知症の人と家族が安心して豊かに生きるために」など認知症介護に関する講演を用意し、養護者支援こそが高齢者の尊厳を守る取り組みであることを基本としてプログラムを構成します。地域の包括的なケア基盤を固めることが在宅ケアの推進に大きく貢献すると考えます。
第19回日本高齢者虐待防止学会 上越大会
大会長 小長谷 百絵(新潟県立看護大学 教授)