特別講演 「高齢者虐待防止施策の最新情報〜市町村・都道府県における高齢者虐待への対応と養護者支援について(国マニュアル)の改訂について、他」

演者
乙幡 美佐江 おっぱた みさえ

厚生労働省老健局高齢者支援課 高齢者虐待防止対策専門官

社会福祉士・介護支援専門員
ルーテル学院大学大学院総合人間学研究科社会福祉学専攻博士後期課程修了。社会福祉学博士。一般社団法人日本社会福祉学会関東部会2014年度奨励賞受賞。
デイサービスセンター相談員、居宅介護支援事業所ケアマネジャー、社会福祉協議会日常生活自立支援事業専門員、地域包括支援センター社会福祉士、市役所高齢者支援課権利擁護担当、高齢者権利擁護センター専門相談員、大学非常勤、権利擁護関係研修講師、地域包括支援センタースーパーバイザーなど勤務。
主な著書は「ソーシャルワーク実践による高齢者虐待予防」民事法研究会,2019.3、「高齢者虐待防止施策に関する最近の動向」『認知症ケア事例ジャーナル』Vol15,2023,p236-242他。

講演内容

厚生労働省における高齢者虐待防止施策のうち、最近の取組みとして、

  • 令和3年度に養介護施設従事者等による高齢者虐待防止の取組みを強化する観点から基準省令を改正し、すべての介護サービス事業者を対象に、①委員会の開催②指針の整備③研修の定期的な実施④担当者の配置を義務付け、令和5年度までは努力義務、令和6年度から義務とした。
  • 令和3年度及び4年度に高齢者権利擁護等推進事業のメニューの追加
  • 令和4年度及び令和5年度に保険者機能強化推進交付金・介護保険保険者努力支援交付金への高齢者虐待防止にかかる体制整備に関する指標の新設
  • 令和4年度に社会保障審議会介護保険部会における高齢者虐待防止の推進についての協議
  • 令和4年度に「市町村・都道府県における高齢者虐待への対応と養護者支援について」の改訂
  • 令和4年度に「第9期介護保険事業(支援)計画の基本指針」の「基本的事項」を改訂し、市町村と都道府県に「高齢者虐待防止対策の推進」について新設
  • 令和5年度に老健事業による「身体拘束ゼロへの手引き」の改訂や報酬改定の検討を予定している。

この他、高齢者虐待防止法第26条に基づいた調査を実施し毎年公表し、老健事業として、高齢者虐待防止法第20条調査、死亡・重篤事案の検証、AIの活用、介護施設における効果的な虐待防止研修などに関する調査などを実施し、高齢者虐待防止施策を推進している。


座長

山田 祐子 やまだ ゆうこ

日本大学文理学部 社会福祉学科 教授

学歴
日本女子大学文学部社会福祉学科卒業、同大学院博士課程後期満期退学

職歴
日本女子大学非常勤助手から共栄学園短期大学・浦和短期大学(介護福祉士養成課程)を経て日本大学文理学部(社会福祉士養成課程)に着任

専門領域
社会福祉学、高齢者福祉、ソーシャルワーク

高齢者虐待の研究について
1993年に高齢者処遇研究会として高齢者虐待の全国調査を実施、1996年電話相談を開始、1997年施設における高齢者虐待の調査を実施し、高齢者虐待防止について社会福祉学の視点から研究を行っている。
単著:山田祐子『家族介護と高齢者虐待』(一橋出版、2004年)
(関わった主なマニュアル・研修関係)
『高齢者虐待対応マニュアル」』(世田谷区、2005年).
『東京都高齢者虐待対応マニュアル─』(東京都、2006年)
『施設職員のための高齢者虐待防止の手引き』(神奈川県、2009年)
日本社会福祉士会「認定上級社会福祉士・虐待対応専門研修~アドバイザーコース~・認定社会福祉士制度研修認証・講義責任者」(2016年、2018年)
MS&ADインターリスク総研『令和2年度厚生労働省老人保健事業推進費等補助金:介護施設における効果的な虐待防止研修に関する調査研究事業』委員長

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