2016年に発足した定義問題特定委員会では、これまでに高齢者虐待防止法に関わる用語の定義等について検討を重ねてきました。このたび、和田忠志委員長が中心となり、定義問題検討会の議事録を取りまとめましたので、下記にご報告いたします。
定義問題特定委員会・定義問題検討会〜立ち上げに際し
定義問題特定委員会 委員長 和田忠志
はじめに
高齢者虐待防止法(以下「防止法」)に記載された定義は必ずしも利便性に優れず、支援者の解釈により支援が規定されうる。この現象に鑑み、委員会解釈を述べる。
(1) 「高齢者」の概念
よく問題になる誤解が「介護を要する高齢者のみが対象」である。法制定時、有料老人ホーム等に自立高齢者も存在することを前提に記載され、自立高齢者は対象である。
(2) 「養護者」との関係
「養護者」概念は、養介護施設従事者等以外の現に養護する者であるが、虐待との関係についての解釈は次の通り。
① 養介護施設従事者等以外の施設等従事者は無認可事業所の者を含めて「養護者」。
② 現に養護していない親族は「養護者」に該当しない。「養護者に該当しない親族」による虐待(経済的虐待以外)は防止法の虐待概念から除外される。
③ 養護者が「養護者に該当しない親族の虐待を放置する」ことは介護等放棄に該当する。
④ 経済的虐待に関しては養護者に該当するかしないかに関わらず、虐待概念に含まれる。
⑤ 「(養護者の如何に関わらず)親族・養護者・養介護従事者等」以外の者による経済的虐待は防止法の対象である。
⑥ その他、第三者の虐待行為は、防止法の対象でない場合、「民法上の不法行為」、「刑事上の暴行・脅迫・詐欺等」に該当する。
現場の問題としては、経済的虐待以外は、「養護者ではない親族」「それ以外で、かつ養介護従事者等以外による者」による虐待は対象でない点である。
定義問題検討会 議事録
年月日 | 内容 |
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2016.8.7 | 高齢者虐待防止研修会のあり方について |
2016.12.18 | 加害者が虐待を行う理由についての調査研究 |
2017.3.26 | 松戸市専門職マニュアル掲載予定の定義問題に関する文書検討 |
2017.5.14 | 高齢者虐待に関連する諸制度の状況 |
2017.10.15 | 在宅高齢者虐待の虐待者と被虐待者の関係性に焦点を当てた介入実践モデルに関する研究 |