理事長 池田直樹
1、会員の皆様、この春以降コロナの影響で、社会生活が一変し、ご自身やお近くの皆様に大きな影響が出てしまっているのではと案じております。
このコロナについては「with コロナ」という表現がされるように、「収束」ということで、元の生活に戻るということは考えず、常にコロナを意識した生活様式に修正することを余儀なくされているようです。
福祉の活動は、基本的に人とのふれあい、支えあいの中でつむぎ上げていく、持続的な活動であり、人との距離感としては、まさに「3密」がごく自然に受け入れてきたと思いますが、この「3密」を無条件にリセットし、ソーシャル・ディスタンスが前提となる社会に変わってしまいました。自己決定を基本に、自分らしさを積み上げていくという生活様式は理由もなく吹っ飛んでしまって、私たちは「このやり方でやりなさい」と指示され「コロナと折り合いを付けながら日常生活を送りなさい」との指示に戸惑いながらも、已む無しと動き始めたのではないでしょうか。
いろいろなコメントをみると、ウイルスとか感染症は、元から地球環境の中で人間社会に併存していたもので、「克服した」かのように見えても、当たり前に存在していたことを思い知らされたのであり、これからもいろいろなウイルスや感染症と付き合っていかなければならないことを再認識させられたわけです。
2、さて、当学会は、この9月に大阪で学術大会の開催を予定しておりましたが、残念ながら中止せざるを得ませんでした。当学会としては来年学術大会を開催するとしても、ソーシャル・ディスタンスを踏まえた大会、若しくはリモート大会を余儀なくなるかもしれません。
ところで、新聞報道などを見る限り、在宅で、入所施設での高齢者に対する虐待報道は後を絶ちません。また、虐待問題は高齢者だけではなく、障害者や子ども、そしてDVなど閉じこもった人間関係の中で生じやすく、そのような関係では弱者側が一方的に、その尊厳を踏みにじられてしまうことが多い。このまま放っておけないと立ち上がった人々の取り組みがあり、学会としては、この取り組みと連携することも視野に入れて、「虐待の共通の根」を見定め、理解し、研究活動と実践を積み重ねていくべきではないでしょうか。会員の皆様の絶え間ない活動を信頼し、学会がその研究発表の場を提供することで虐待防止に貢献できればと願っております。
今回のリレーエッセイは、9月の学術大会が中止せざるを得なくなったことを踏まえ、引き続いて実践、研究活動を継続されている会員各位とのコミュニケーションを図る一助になればと、企画しました。是非、いろいろなご意見をお寄せいただければ幸いです。
以 上